開発の背景(1990年代後半〜2004年)
1990年代後半、ボーイングは市場での競争力を強化するため、燃費性能の向上を目指した新型機の構想を練っていました。また、将来必要なのは音速に近い遷音速で巡航できる高速機であると考えていました。
当初、「ソニック・クルーザー」という、マッハ0.98で飛ぶ高速機の構想がありました。
しかし、2001年の「9.11同時多発テロ」後の航空需要の低下と燃料価格の高騰により、市場は「速度」よりも「燃費性能と経済性」を求める方向にシフトした為、その計画は中止されました。
そして、2003年1月に新たに登場したのが「7E7計画」です(「E」はEfficiency=効率の意)。速度よりも効率を重視したものです。
2004年4月に、全日本空輸(ANA)がローンチカスタマーとして50機をボーイングに発注し、開発プログラムが正式に開始されました。この時に呼称が「787」に改められ、一般公募で「ドリームライナー」という愛称が決定しました。
開発と初飛行(2003〜2011年)
2003年:7E7計画が正式にスタート。
2004年:日本のANA(全日本空輸)がローンチカスタマーとして50機を発注。
2005年:名称を「787 Dreamliner」に変更。
2007年:最初の試作機が公開(ロールアウト)。
2009年:最初の飛行試験を実施(当初は2007年予定だったが、遅延が続いた)。
2011年10月:ANAが世界初の787の運航を開始(成田〜香港線のチャーター便)。
開発は遅延やコスト増に悩まされましたが、軽量な炭素繊維複合材の使用(50%以上)や最新エンジン(GEやRolls-Royce製)による燃費改善など、画期的な特徴が話題となりました。
運航の広がりと実績(2010年代〜)
- ANA、JAL、ユナイテッド航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、カタール航空など、世界中の航空会社が導入しています。
- 特に「中長距離の直行便ネットワークを広げる手段」として活用され、燃費効率と航続距離の良さが評価されています。
- ボーイングは「これまでなかった都市間を直行便でつなぐ」というビジョン(ポイント・トゥ・ポイント戦略)を実現しました。